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大鳴山

 大阪府の泉佐野市に”犬鳴山”(いぬなきやま)と名付けられている小さな山があります。
この山の名前にまつわる昔話です。

 昔、一人のうでのいい猟師がいました。その猟師は一頭の有能で忠実な猟犬を、山にはいるときはいつも連れていってました。
 彼が獲物に困らなかったのは、犬のおかげでもあったわけです。
 猟師は常に犬の働きに感謝して、とても大事にしていましたし、犬の方もそれはそれは主人によく仕えていました。
 この一人と一頭は、長い間、そのようにしてお互い信頼しあって、生活を共にしていました。
 そのよい関係は、どちらかが天寿をまっとうするまで続くかに思われました。
 しかし、そうではありませんでした。

 ある日のこと、いつものように一人と一頭は、猟のために山に入りました。獲物を求めて歩き回っていたとき、突如として激しく犬が吠えはじめました。
 猟師があたりを見回してみても、なにも見あたりません。しかし、犬は激しく吠え続けるばかりで、いくら叱っても全然やめようとはしないのです。犬が吠えるのをやめないと獲物が逃げてしまうので、ひどく腹を立てた猟師は、ついに持っていた鉈をふるって犬の首を切り落としてしまいました。
 猟師が犬の首を切り落としたそのとき、落とされた犬の首が、いきなり宙を飛びました。木の枝を伝って、猟師の頭上に忍びより、いまにも襲いかかろうとしていた大蛇に向かって。
 自分が大蛇の餌食になろうとしていたこと、犬はそれを教えようとしていたことに、やっと猟師は気づきました。
 彼は自分が殺してしまった忠実な犬に救われたのでした。まったく皮肉なことです。

 その後、いつの頃からか、その山は、犬鳴山と呼ばれるようになったという話です・・・・

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